エリザベス女王もフェイクファー宣言!/毛皮廃止を訴えるカナダ人ジャーナリスト

    \ 記事をシェアする /

f:id:bolienda:20191202183056j:plain
今日は、ドキュメンタリー “The Farm In My Backyard” (裏庭の農場)を製作し、ミンクファー産業の問題を暴いた報道写真家ジョアン・マッカーサーさんの話をご紹介します。

 

ジャーナリスト達の努力により、カナダのノバスコシア州のミンクファー産業を取り巻く闇を浮き彫りにした作品となりました。毛皮産業が産み出す問題について、マッカーサーさんの取組みを追いながら学んでいきたいと思います。

 

注目されない動物達

f:id:bolienda:20191127063040j:plain

 

カナダ人報道写真家のジョアン・マッカーサー(Jo-Anne McArthur)さんは2003年、We Animals Mediaプロジェクトを立ち上げました。

 

このプロジェクトは、写真、取材、ドキュメンタリー撮影を通じて動物達にスポットライトを当てて人々に真実を伝えるためのメディア活動です。このときマッカーサーさんは、私達の目に見えていない動物達(invisible animals)の実態を伝えることが自分の使命だと心に決めました。

 

このプロジェクトで取り上げるのは、私達が普段深い関係を持っていながらその現実の姿を見ようとも思いを馳せようともしていない動物達。つまり、私達が食べたり、身に着けたり、実験に使ったり、娯楽のために使用したり、働かせたり、宗教上の理由で犠牲にしている動物達です。

野生動物やペット動物には多くの注意が払われているのに対し、これらの動物達が置かれている生活実態は全く注目されていません。

 

We Animals Mediaプロジェクトはそんな現実を踏まえて、犠牲になっている動物達の真実を伝えるために半ば必然的に発足。マッカーサーさんは60か国近くを訪れ、動物園や畜産工場、子犬工場(利益のため犬を大量繁殖させる悪質ブリーダー)、サーカスの実情を自分の目で視察。2014年には自身初の著書「We Animals」も出版しました。

毛皮生産に伴う環境汚染

f:id:bolienda:20191127062622j:plain

 

2014年にWe Animalsチームは、カナダの複数のNGOとLUSH(石鹸など自然派コスメで日本でも有名ですね)と協力して、カナダの毛皮産業の実態を記録しました。チームがブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、ケベック州、ノバスコシア州を横断する中で、ドキュメンタリー「裏庭の農場」のアイデアが実現していきました。

 

「ノバスコシア州を訪れて一番驚いたのは、地元の人々が毛皮産業による環境汚染に公然と怒りをあらわにし、進んでカメラの前で話をしてくれたこと。」とマッカーサーさんは言います。

 

ノバスコシア州はカナダで二番目に小さい州。92万4千人が住む州になんと116ものミンクの毛皮工場があり、中には25万匹以上のミンクを飼育している工場もあります。

この大量のミンクの飼育により深刻な環境汚染が進んでいるのです。

 

何百万匹と飼育されているミンク達の何トンもの排泄物が地面に侵出し、適切な処理もされないまま近くの水路に流れ込み、川や湖から酸素や栄養分を奪う藻類が異常繁殖。それによってを水路が有毒化し生物が住めなくなっていると言うのです。


この汚染により水域がヘドロで満たされ緑色に変色。また、工場の労働者はミンクの食欲を増進するために飼料にリンを添加しています。このリンが最終的に水路に流れ込み、水中で藍藻(らんそう)が繁殖。この藍藻は皮膚や眼の炎症、胃腸の病気、インフルエンザのような症状を引き起こす可能性があります。また、脳卒中、肝不全、死亡などのより深刻な問題の原因にもなっています。

  

畜産業は環境や健康に有害で、また言うまでもなく、商品化されていく動物に対する残酷さは畜産業が必ず内包するものです。」とマッカーサーさんは言います。

動物擁護は単体の問題ではなく、環境問題、労働者の権利、人権、水利権の問題と密接に関わり繋がっているのです。

 

ドキュメンタリーはこの記事で見られます(記事中盤に動画があります)↓↓

毛皮生産の残虐性

f:id:bolienda:20191127061955j:plain

 

「毛皮業界には、マーケティングやグリーンウォッシング(環境配慮をしているように装いごまかすこと)、さらには業界改革を推進するための無限の資金があるようだ。このような業界の"努力"により、人々は自分が毛皮を身に着けていることに気づいていないことすらある。」とマッカーサーさんは言います。

 

イギリスの調査会社YouGovの2016年の調査では、イギリス人10人中9人が毛皮の売買を「受け入れられない」と考えていることが判明。しかしその一方で、歳入関税庁よれば、同年イギリスは55,614,501ポンド(約780億円)の毛皮を輸入しているという相反する現実がありました。

これは、毛皮が人々に気づかれないように洋服の原材料に織り込まれている、もしくは人々が正しくないことを知りながら消費活動が行われていることを意味しています。

 

一部の人々は毛皮の生産のために動物が殺されていることさえも知りません。動物達は人間が毛皮を得るためにガス殺や、死ぬまで肛門感電させられる方法で殺害されています。

 

活動家は何十年もの間毛皮産業に対して激しい抗議運動を続けてきましたが、残念ながら未だに一部の国では毛皮産業が栄えている現実があります。 

毛皮を禁止した国と企業

f:id:bolienda:20191127062204j:plain

 

そんな中、毛皮産業に伴う環境被害、動物への虐待問題をいち早く認識し行動を起こした国が存在します。オランダ、スロバキア、チェコ、ベルギーなどの国では、すでに毛皮の生産が禁止されています。さらに今年10月には、カリフォルニア州がアメリカで初めてファーの販売を禁止しました。

 

また、名だたるファッションブランドも方向転換を図っています。

プラダ、グッチ、ベルサーチ、バーバリー、シャネル、ダイアン・フォン・ファステンバーグが、コレクションにファーを使うことを禁止。また11月初旬には、イギリスのエリザベス2世がこれからはフェイクファーのみを身に着けることを宣言しました。 

ビーガンになった感覚

マッカーサーさんの動物を尊重するという責任感は、自身の食事スタイルにも反映されることになります。彼女はしばらくベジタリアン生活を送っていたものの、ビーガンは極端な選択だと考えていました。

しかし、ニューヨークにあるファームサンクチュアリ(動物福祉の改善や動物利用をなくす活動をする施設)で働き始めたとき、団体方針の一環で動物性食品を控えることを求められたことをきっかけにビーガン生活を初めて経験しました。

 

「その後、ベジタリアンに戻ると思っていた。でも、24時間ビーガン生活を体験した後、つまり誰も(環境・動物・人権などを)傷つけずに過ごせた後、精神的にも知的にも自分の信念と整合していると感じ、もうベジタリアンに戻らないことを悟った。ビーガニズムの実践は難しそうだと思っていたけど、そうではないことが分かった。」とビーガンになった気分の良さを語りました。

 

マッカーサーさんは、オーストラリアのアニマルサンクチュアリーの創始者、パム・アハーン氏のこの言葉に共感したと言います。

 “If we could live happy and healthy lives without harming others, why wouldn’t we?”

(もし誰も傷つけずに楽しく健康に生きられるとしたら、そうしない手はないよね?) 

いかがでしたか?

私達が知らず知らずに持っている動物に対する認識の違い。普段食べたり身に着けている動物にほど注目していないという指摘にはハッとさせられますね。

 

寒くなってくると動物の一部を使った洋服、毛皮やウール、カシミヤ、ダウンなどを私達は当たり前のように着ていますね。今回は毛皮のために命を奪う残酷性だけでなく、深刻な環境問題、それによって引き起こされる人間の健康問題も明らかになりました。

 

動物から搾取をしないということは、動物の命や尊厳を守るだけに留まらず、環境、引いては私達自体を守ることにも繋がります。しかし、畜産業による環境被害や健康被害は、特に日本では(私もそうであったように)、報道もないし政府からのアナウンスもなく、認識していない人がほとんどです。

 

ビーガニズムが波及する背景には、このような連鎖的な被害を断ち切るためにまず動物搾取をやめることが必要だということが明らかになっているからです。私達が動物を殺して利益を得ていた畜産業によって私達が殺されようとしていると言っても過言ではないのです。

 

食のため、衣服のため、あらゆる側面において畜産業に投資をしない、というのがビーガンの姿勢です。動物だけでなく、環境や人権、巡り巡って自分自身や家族、未来の世代を守るためです。

どうかエリザベス女王のように、フェイクファーを楽しむ人が増えたら嬉しいです。

お読みいただきありがとうございました!