畜産業が禁止に?人口の3割が食肉消費を減らしたスイスの国民投票

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みなさんは食卓に並ぶ動物達が普段どのように暮らしているか知っていますか?私は生まれて30年間全く知らずに生きて来ました。

 

とあるきっかけで家畜の生活を初めて見たとき、私は泣きました。そして国内外の情報を調べていくうちに、肉を食べよう、牛乳を飲もう、卵は一日何個食べても良いなどという文句は消費を促すマーケティングに過ぎないことに気がつきました。知らず知らずのうちに私達は幼い頃から刷り込まれています。

 

しかし近年インターネットのおかげでドキュメンタリーやアクティビストの活動を世界中どこでも目にでき、裏側にある実態に人々が気づき始めています。今日は、動物を救うために立ち上がったスイス国民の話をご紹介します。

 

 

「畜産は問題」国を動かした民の声

動物への配慮

ところで、工場式畜産(ファクトリー・ファーミング)という言葉を知っていますか?工場のような収容施設の中で低コストかつ効率的に家畜を生産する方法をいいます。劣悪な環境、激痛が伴う処置、過密飼育、監禁、薬品漬けなど、動物福祉が配慮されていない点が問題視され、いま世界中で反対運動が起きています。私達が持つ、牧場でゆっくり草を食むような家畜の暮らしとは到底かけ離れたものです。 

 

 

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そしてついにスイスではこの反対の声が国を動かす事態に発展。

今年9月に工場式畜産の禁止を求めて10万人以上の署名が集まったことを受け、スイス政府はいま、工場式畜産の禁止を検討しています。

 

禁止を求める国民は工場式畜産は動物福祉を著しく損なう産業だと訴え、アニマルシンクタンクのメレット・シュナイダーさんは声明の中でスイスの畜産状況について以下のように言及しました。 

子豚の半数は一度をも空を見ることなく屠殺される。

80%以上の鶏は生涯一度も草地を踏むことがない。

・鶏は生後30日後には屠殺対象となる。

  

環境への配慮

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また、工場式畜産は気候変動や水不足など、数々の深刻な環境問題の要因にもなっています。

 

多くの研究により畜産業が地球にもたらす悪影響の大きさが明らかにされています。国際連合環境計画(UNEP)も今年9月に人々の食肉消費削減が「世界で最も解決急務な課題」と明示したほどです。

 

・現代の動物利用が私達に破滅の危機をもたらしている。

・畜産業が排出する温室効果ガスは、乗用車・トラック・バス・船舶・飛行機さらにはロケットが排出する量を合算したものに匹敵する。

  と国際連合環境計画(UNEP)は警鐘を鳴らしています。

 

健康への配慮

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さらに、工場式畜産では大量の動物を汚い環境で過密飼育しているため病気も蔓延しやすく、家畜達は慢性的に薬品や抗生物質を投与されています。

 

また、より早く出荷体重まで成長させるため健康な家畜にも薬品を投与したり、アメリカではホルモン剤を投与しています。日本ではこのホルモン剤は禁止されていますがアメリカ輸入牛には含まれているのでご注意ください。

 

ちなみにEUでは2006年に成⻑促進目的での家畜への抗生物質の使用を禁止、また1989年から米国産牛肉の輸入を原則禁止しています。先ほどのホルモン剤使用による安全性を問題視し、アメリカからのプレッシャーにも負けず30年前から断固としてNOを突きつけています。

 

畜産業に関して規制はEUは日本より圧倒的に進んでいます。以前「日本の畜産は海外より人道的でしょ?」なんてのんきなことを思っていた私は、日本が遅れていることを知って本当にショックでした。

 

畜産違法の法制化を目指して

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「スイスに工場式畜産はいらない」法案は2018年6月に提出されました。連邦憲法の80a項を改正することで工場式畜産に終止符を打つのが目的です。

 

シンクタンク「Sentience Politics」の共同ディレクターのシルバノ・リガーさんは以下のように語ります。

「この法案がこれほど早く提出できたという事実は、スイスの人々がどれほど動物達を思い遣っているかを表しています。それでも大多数の人々が、莫大な数の家畜達が今も堪え難いほど苦痛な状況で飼育されている状況に未だに気づいていません。」

「工場式畜産は直接民主主義の力を使って違法にするべきです。」

 

スイス国民の動物意識

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畜産禁止の法案に加え、スイスでは国内で販売されている製品における動物実験を許可するかどうかについての国民投票も予定されています。国民投票発議のために必要な10万人の署名が集まったことで投票が可能となりました。

 

昨年スイスでは、動物福祉の観点からロブスターをはじめその他全ての甲殻類のボイル処理が違法になりました。最近の報告によると、人口の31%にあたる260万人のスイス国民が食肉消費を一切やめた、または消費量を減らしていることが分かっています。

 

まだ日にちは定められていませんが、工場式畜産の是非を問う国民投票の日がやってきます。

 

いかがでしたか?

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世界の動きを見るのは面白く、先進的な前例がとても勉強になります。

スイスの何がすごいって「直接民主制」ですよね。国民自ら国に問題提起し、国民全体の意見を問うことができます。その声をもとに国は政策の舵取りをせざるを得ない訳です。代表者を送りこむことでしか議論ができない「間接民主制」の日本とは異なり、国民感情の共有や問題解決などが圧倒的に早そうですね。

  

このブログでは、日本でなかなか話題にならない、でも興味深いテーマを毎日更新しています。世界の教養講座みたいなつもりで覗いていただいても本当に嬉しいです。

また是非読んでください!ありがとうございました! 

 

参照記事

Swiss to vote on banning factory farming - SWI swissinfo.ch

Factory Farms May Soon Banned In Switzerland: Animal Welfare | WhatsOrb