世界最大級カンファレンスで牛肉禁止/Salesforce「サステナビリティは事業戦略の時代」

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みなさんはセールスフォース・ドットコムという会社をご存知ですか?米国サンフランシスコに本社を置くソフトウェア企業で、顧客管理システム(CRM)などで世界一位のシェアを誇ります。

昨日のIKEAに続き、今日は超巨大テクノロジーカンパニーのセールスフォースの取組みをご紹介します。

 

 

世界最大級のカンファレンス

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Apple CEO ティム・クック氏 出典:Salesforce blog

セールスフォースは年に一回、世界最大級のテクノロジーカンファレンス「ドリームフォース(Dreamforce)」を開催しています。顧客、パートナー、主要投資者、従業員など世界90か国以上から約17万人が参加します。

 

ゲストスピーカーとして前大統領バラク・オバマ、Apple社CEOのティム・クック、ゲーム・オブ・スローンズ出演女優のエミリア・クラーク、FIFAゴールデンカップチャンピオンのミーガン・ラピノー選手、環境保護アクティビストやヒップホップアーティストまで様々な業界から豪華なゲストが招かれました。

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このドリームフォースはもはやソフトウェアにとどまらず、世界のイノベーションを促進するための国際カンファレンスとしての地位を確立。今年は11月19〜22日の4日間、サンフランシスコのモスコーニ・センターにて開催されました。

 

17万人が食べなかったもの

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例年と異なり、今年プログラムに載っていなかったことが一つありました。

 

それは「牛肉」。

会場で提供する食事メニューから一切の牛肉が排除されました。これにより約900万ガロンの水(=約3.4万トン)が節約されるとセールスフォースは発表しています。牛肉の生産には莫大な量の水が使用されるためです。

 

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また、牛肉をメニューから外しただけでなく、100%堆肥化可能な調理器具と包装を使用し、プラスチック製のストローは配布せず、ペットボトル10万本分の消費を防ぐことができる再利用可能な水筒を提供。さらに残った食材は地元の非営利団体フードランナーズに寄付して必要な人に配布してもらいました。

フードランナーズ(Food Runners)は、余剰食糧を食べ物を必要とする人に再配分するサンフランシスコの団体。

 

再生可能エネルギー100%を目指す

今回の牛肉不使用の決断は同社がサステナビリティへの取組みの拡大を目指したもので、今後の目標も掲げています。

気候変動という差し迫った課題の解決に向け、2022年までに再生可能エネルギー100%を目指すことを宣言しました。
ビジネスにおける環境負荷を測定できるSustainability Cloudで企業の環境対策を推進し、低酸素社会に向けた取り組みを支援していきます。

出典:Salesforce

スザンヌ・ディビアンカ氏(Chief impact officer)は、気候変動は今まさにここで確かに起こっていると危機感を発信。

 

「私達は急がなければ。ドリームフォースの在り方を変える必要がある。ドリームフォースを参加者に環境配慮への関わり方を教える場として活用すべきだ。」と語っています。

 

米国牛肉協会の反応

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米国牛肉協会(The U.S. Cattlemen’s Association)やロビー活動の団体は牛肉禁止の動きについて好ましく思っていません。牛肉消費量が減るので当然ですよね。

 

 「アメリカ牛の生産者は、放牧することによって本来の生息地域や草原の生態系を補完していると同時に、空いている土地にイベントセンターのような集約型施設が建つのを防いでいる。」と、米国牛肉協会のリア・ビオンド氏は反論しました。

さらに、「畜産業は土壌に含まれる炭素を隔離するので、農場維持に必要な温室効果ガスの排出量と、参加者がサンフランシスコに来るために必要な飛行機・船・自動車の排出量とを合わせて相殺していることになる。」とも加えました。

 

セールスフォースは、飛行機を利用する参加者の人数に関するデータは持っていませんでしたが、従業員の移動手段によって相殺する想定で出来るだけ公共交通機関での参加を呼びかけていました。

 

世界では大学も牛肉を禁止

CO2排出量ワースト一位は牛肉。持続可能システムのためのミシガン大学センターによれば、一食分のマメ科植物が0.11ポンドのCO2を排出するのに対し、一食分の牛肉はその60倍の6.61ポンドのCO2を排出します。

 

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ポルトガルのコインブラ大学、ヘルシンキ大学、ロンドン大学のゴールドスミスなど、世界中の多くの大学が炭素排出量を削減するために牛肉を禁止しています。

 

WeWorkもFacebookも

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セールスフォースだけでなく、サンフランシスコ州のベイエリアでは気候変動に対する対策が次々と講じられています。 

 

オフィススペースを提供するWeWork社は、昨年従業員に食肉を含む食事経費の払い戻しをしないと発表。これは日本を含む各国の全社員に適用されています。

また9月には、Facebookが新しいオフィスでのペットボトル使用を禁止しました。

サンフランシスコ国際空港も8月にペットボトルを禁止、ただし炭酸飲料や香り付きの水の販売においてだけ使用を許可しています。

 

セールスフォースは今後、ドリームフォースに気候変動に関するスピーカーを招いてパネルディスカッションするなど持続可能性サミットとしての機能も持たせていきたいと語っています。

 

慈善活動ではなく事業戦略の時代

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「サステナビリティに関してはもはや議論の段階ではない。企業は明確な時期と目標をコミットメントしていかなければならない」――。セールスフォース・ドットコム日本法人代表取締役会長兼社長である小出伸一が、Salesforce World Tour Tokyo 2019の1日目最後のセッションで力を込めた一言です。

出典:Salesforce

セールスフォース社は、サステナビリティはもはや「良いことをプラスαでやってます」ではなく当たり前に事業戦略に組み込むべき要素だという視点の高い捉え方をしています。

興味のある方はぜひこちらもご覧ください。

 

いかがでしたか?

自社開催のカンファレンスを人々の気候変動についての教育の機会にしたいという考え方は素晴らしいと思いました。企業単体の利益を追求するのではなく、地球全体をみんなで持続可能なものにしていこうという人類全体の課題として捉えている真剣さが伺えます。

 

自分が不便になることばかりを恐れず、行動を変えられる人が日本にどれだけいるのか、これから世界で日本が本当の意味での先進国でいられるかは、私達ひとりひとりにかかっていると思います。気づいたときに行動しなければ変わる機会はありません。

 

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世界の良い事例を知って、考える機会にしていただけたら嬉しいです。

読んでいただいている方、読者登録してくださっている方、SNSフォローして下っている方、いつも本当にありがとうございます!

 

参照

San Francisco’s Mega-Conference Dreamforce Bans Beef | VegNews

Salesforce chops beef from Dreamforce menu - SFChronicle.com