メキシコ人青年がサボテンレザーを開発。クルエルティフリーの美しさ

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今日は植物からまるでレザーのような生地を作り出した二人のメキシコ青年起業家のお話。開発されたこのビーガンレザーは『Desserto』と名付けられました。

 

ビーガンレザーとは?

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二人の名前はアドリアン・ロペス・ベラルデ(Adrián López Velarde)とマルテ・カサレス(Marte Cázarez)。ウチワサボテンの葉のみから初めてオーガニックビーガンレザーを作った人物です。

 

ビーガンレザーとは、動物性原料によらず人工的に革の繊維構造を再現した新しい素材のこと。欧米を中心に広がりを見せるビーガンファッションブランドにおいて様々なタイプのレザーが使用されています。

 

クルエルティフリーとは?

二人の目的は持続可能な製法で、動物を使わないクルエルティフリーなレザーを作ることでした。

 

クルエルティフリーとは?
クルエルティフリー(Cruelty-free)とは、直訳すれば「残酷性がない」という意味で、商品の開発・製造において原料確保や研究などのために動物を殺したり、動物実験を行ったりしないことを意味しています。クルエルティフリーを遵守している製品には以下のようなウサギの認証マークが付いています。

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彼らの製法では有害な化学物質、フタル酸エステルやPVCは使用せず、ビーガンレザーも部分的に生物分解性があり環境に配慮されています。柔軟性、通気性に優れ、少なくとも10年は使える耐性を持っています。素材の触り心地はまるで動物性レザーそのもので、家具や自動車、アクセサリー、洋服などに幅広く使用できます。

革製品がもたらす環境汚染

f:id:bolienda:20191206212301p:plain二人をビーガンレザーの開発に駆り立てたのは環境汚染の深刻化でした。

なめし革業者は動物性レザーを作るのに、ホルムアルデヒド、シアン化物、ヒ素、クロムを含む250種類にも及ぶ化学物質を使用します。これらの化学物質は水路に流れ込み海と海洋生物を汚染、さらに地元の人々の病気のリスクを高めているのです。

 

また、皮目的に家畜を育てるのは残虐性の問題だけでなく温室効果ガスの大量排出にも繋がります。革産業が環境にもたらす悪影響の大きさを見れば、持続可能な製法でないことは明白です。

なぜサボテン?

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二人が原料にサボテンを選んだのは、持続可能な生産実現のため。サボテンは成長するのに水を必要とせず、メキシコ国内全体にたくさん生えています。

「サボテンは私達メキシコ人を表すシンボルでもあり、誰もがイメージしやすいですからね。」とロペス・ベラルデ氏は語ります。

 

植物性レザーを使用している企業は、動物性レザーを使用するよりも水の消費量を20%削減することができます。

「近年、ファッション業界単体で使用されている水の使用量が790億立法メートルと莫大なものになっており、これはオリンピックの競技用の大きさのプール3200万杯分にも匹敵する。」とロペス・ベラルデ氏は説明します。

また、ビーガンレザーはプラスチック使用の32〜42%削減にも繋がります。

 

ポルシェもビーガンレザー

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世界では消費者の意識がよりエシカルに移行している今、クルエルティフリーでよりサステナブルな素材を求めてビーガンレザーを取り入れる企業が増えています。

 

フットウェアブランドのノーセインツ(No Saints)は、食品廃棄物を利用してビーガンレザースニーカーを生産。パイナップルの葉の繊維から作られた植物由来のレザー生地=ピニャテックスとリンゴの皮を使用しています。

 

また、ポルシェは純電気自動車(BEV)『タイカン(Taycan)』に、ポルシェ初となるビーガンレザーの内装オプションを用意。原料にはリサイクルポリエステル繊維を使用し、生産に必要なCO2は動物性レザーを使用した場合のCO2の80%も削減できています。  

本革?純正?ナチュラル?

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Joshua Katcher(右) by FASHIONUNITED

数か月前、ニューヨークのファッション工科大学で行われたエシカルファッションの講演会に行きました。その際に聞いた、デザイナーのジョシュア・カッチャーさんの言葉が今でも胸に残っています(下記)。彼はビーガン暦20年以上で世界初のメンズビーガンブランド『Brave Gentleman』を立ち上げた方です。

 

私達は「本革」「純正レザー」という言葉の印象に引っ張られ、身に着けることでまるで自分も「本物」の一段上の人間になったような勘違いをしている。

しかし、私達は何をもってGENUINE(本物)と言うのだろう?

その革製品が恐ろしく血生臭い犠牲の上に作られていることを考えれば、その瞬間全く逆の意味をその人に付与することになるのではないだろうか。 

 

 また、動物性レザーは「100%ナチュラル」という謳われ方もしますが、ただ動物性というだけで革の加工には先述のとおり250種類もの化学物質が使われています。

 

原材料とされる動物ももはや人工的に繁殖・過酷な環境で飼育され本来の自然な姿はもうどこにもありません。

ビーガンレザーは未来の素材

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私は東京での会社員時代は取引先に訪問することが多く、それなりに身なりに気をつかっていました。お金が少し貯まるたびに革の財布、革のバッグ、革の靴を買っては「やっぱり大人は本物を持たなくっちゃね」と自己投資をして成長しているような気分にさえなっていました。 

今は、本当の大人は本当に良いものを選択できる知識と行動力がある人だと考え方が大きく変わりました。

 

現代の私達にはテクノロジーがあります。動物や環境の犠牲を選ばなくて済む選択肢がごまんとあります。今やポルシェやテスラがビーガン自動車を作り、エリザベス女王がファーの不使用を宣言し、すでにビーガンの新素材が拡大しています。

 

今後多様なビーガンレザーの登場を楽しみに注目して行きたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

参照

Two Guys in Mexico Just Created Vegan Leather From Cactus | VegNews

Two Mexican Men Just Created The First Organic 'Vegan Leather' From Cactus - News18