スペインの卵『3,2,1,0』はどういう意味?日本とEUの卵は何かが違う?

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 「しまった……。」

 

週末、いつも行く市場から帰ってきて卵の表面を見て私はつぶやいた。

 

「この卵、3番じゃん......!」

 

私はビーガンで卵を食べないのですが、夫が買った卵を見て思わず。

今日はクリスマス前で混んでいたこともありしっかり確認が出来なかったようで…。

がっくり肩を落としながらも、次から気をつけようと話は終わりました。

卵に書かれた謎の番号

スペインで卵を買うと、卵の表面に必ず数字が印字されています。

 

ある日疑問に思って調べたら、

「鶏がどのような環境で飼育されて生産された卵か」を示すものとのこと。

 

スペインを含むEUでは「採卵鶏保護の最低基準」の中で識別番号を卵にスタンプすることが義務付けられ、消費者が鶏の飼育方法が分かるようになっているのです。

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表記は『3,2,1,0』の4段階(一番左の数字)。

今日の卵は愕然の『3』。

 

私が慌てた理由はなんだったのか。

各数字が意味する内容を順番に見て行きましょう。

 

『3』: ケージ飼い

『3』はケージの中で飼育されている鶏の卵であることを示しています。

狭いケージの中に閉じ込められ、歩き回ることも羽を伸ばすこともできない最も過酷な飼育方法です。

 

EUでは2012年からバタリーケージは禁止され、ケージ飼育の場合は一羽当たりの750㎠の最低面積、巣、砂場、止まり木が設置された「エンリッチドケージ」にすることが義務化されました。また、ケージ飼いでも餌への抗生物質の添加は禁止されています。

 

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日本のバタリーケージ飼育  出典:永光農園

 

※EUで禁止されたバタリーケージとは写真のようにワイヤー製のケージを連ねて幾段にも重ね、その中に鶏を収容する飼育方式。横幅は20cmほど高さは頭がつかえ羽を伸ばすどころか方向転換もできない狭さ。一羽あたりのスペースはA4のコピー用紙以下、一羽一羽が別々に閉じ込められています。

 

一方日本は…
EUで廃止されたバタリーケージが、実は日本では2014年時点でも92%使用されています。欧米では1960年代から、バタリーケージは鶏の本能、欲求、習性、尊厳、すべてを奪う残酷な方法だと消費者が声を上げ、スーパーの棚が一変するに至りました。日本のスーパーは、未だに飼育方法によって卵を選べる仕組みになっていません。
 
 

『2』: 平飼い

鶏舎の地面の上で飼われた鶏。

ケージの外に出たとは言っても鶏舎の中からは出られず過密飼育の問題が残ります。一平方メートルあたりに最大12羽もの鶏がひしめき合っています。

 

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EUではバタリーケージが2012年に廃止された後もケージ飼育そのものの廃止を望む声が多く、2012年以降は新たな法規制がないにもかかわらず平飼いや放し飼いへの移行が進んでいます。平飼いは2018年には49.6%にまで広がっています。

 

一方日本は…
先述のとおりバタリーケージ飼育が92%で平飼いすら進んでいません…。
 

 

『1』: 放し飼い

外へ出ることもできる放し飼いの鶏。

やっと太陽のもとで自然な空気を吸うことができるようになりました。

 

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『0』: オーガニック

放し飼いに加え100%有機栽培で生産された餌のみで飼育されている鶏。

抗生物質を含むすべての薬剤の餌への添加が禁止されています。

 

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一方日本は…
ヨーロッパを見習って日本で初めてオーガニック卵の生産を始めたという農家さんをネットで見つけました。日本でオーガニック卵の生産はまだごくわずかなようです。

リアルオーガニック卵 | 商品について | 自然循環農法を取り入れたオーガニック卵の「黒富士農場」

スペインや周辺国の状況は?

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先述したようにEUではバタリーケージが廃止され、できるだけ鶏に配慮された「エンリッチドケージ」が必須と、日本のケージ飼育よりは状態が良いことが分かりました。

 

さらにそのケージ飼育もヨーロッパでは全体の52%と縮小傾向にあります。

そんな中、スペインはまだ82%とケージ飼育が主流です。

 

ちなみに、中央ヨーロッパのドイツ、オーストリア、オランダ、スウェーデンではケージ飼育はなんと10%以下にまで縮小しています。(しつこいですが日本は92%です。)

 

このようにケージ飼育の割合が高いスペインですが、動物福祉の動きは成長しており、スペインの卵生産者協会(Aseprhu)によれば、ケージフリー飼育の割合は2016年に7%増加、2018年には17.6%増加しました。約500万羽の鶏がケージから解放されたことになり、近隣国に習ってケージ飼育廃止に向かっていくことが期待できそうです。 

それでも残る悲しい問題点

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ここまで読んで「じゃあオーガニックの卵買えば解決か!」と思った方もいると思います。しかし残念ながら、そうではありません。より鶏に負担が少なくなったとは言えても、ゼロになったことにはなりません。卵の生産にはまだまだ悲しい現実が付いて回ります。

 

鶏卵業に内在する問題

● 卵を産まず経済価値がないとされるオスのヒナは生まれた直後に殺処分(圧死または生きたままグラインダーと呼ばれるシュレッダー機械で粉砕される。)

 

● くちばしの切り取り(デビーク)は日本では80%行われている。

 

● 強制換羽(強制絶食によって産卵機能を再開、向上させる方法)が日本で63.7%の農家で行われている。

 

● 1〜2年して卵が産めなくなった後は余生を過ごすことなく屠殺(廃鶏)

 

● 本来生涯で卵を産む数は20個程度、採卵鶏は年間300個産んでいる。

 

もし卵を食べるなら、これらを全て行っていない農家さんの卵を選ぶべきだと私は考えています。鹿児島に鶏の生態を最大限に尊重した農家さんがあるようです。

 

日本の卵の表示内容は?

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ちなみに日本では、消費者が鶏の飼育方法を知るための表記は義務付けされていません。原産地、採卵者、包装者、消費期限または賞味期限、保存方法、使用方法などに留まっています。消費者には生産方法を知るべき権利がありますが、現時点では表記を見るだけでは分からないようになっています。
 
個人的には卵を食べない(=採卵のために飼育される鶏がいなくなる)のが理想ですが、食べるのであれば、せめて出来るだけ鶏の苦しみを取り除いている農家さんに買い物という名の投資と応援をして欲しいなと思っています。
 
我が家に二度と『0』以外の卵が来ないように願って…。
(そしていつか、もう卵が来ない日が来ることをこっそり願って…。)
 

最後までお読みいただきありがとうございました! 

 

参照

Huevos: 3, 2, 1, 0 | Blog Somos Triodos

El 82% de las gallinas ponedoras está aún enjaulada | Sociedad | EL PAÍS

海外の状況 - save-niwatori ページ!