フランスでひよこの殺処分禁止。卵の生産方法を知っていますか?

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タイトルを見てぎょっとされた方も多いのではないでしょうか?

「ひよこの殺処分・・・?」

今回は、この殺処分禁止を決定したフランスのお話。世界でも卵消費量が上位の日本だからこそ、ぜひ知っておいてほしい話です。

 

仏、ひよこ殺処分を禁止

今月28日、フランスのギヨーム農相は、養鶏業界で行われているオスのひよこの殺処分を2021年末から禁止すると発表しました。

 

生まれたばかりのひよこを生きたままグラインダーと呼ばれる粉砕器(シュレッダー)に投げ込んで処分する方法は世界中の鶏卵農家で行われていますが、あまりに残酷だとして以前から物議を醸していたものでした。

 

この殺処分の禁止を決めたフランスは、鶏卵業界の改善を目指す国の仲間入りを果たすことになります。

 

IEC(国際鶏卵委員会)によれば日本は卵の消費量世界第二位、一人当たり年間消費量が333個。一日に卵約一個を食べているのが日本人。

その卵の生産のためにオスのひよこが産まれて間もなく殺処分されていることはご存知でしたでしょうか。

なぜオスのひよこが殺処分されるのか?

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毎年、鶏卵農家は約70億匹ものひよこを大量処分しています。卵も産まなければ鶏肉としても成長の遅いオスは、農家にとってはお金にならない無価値な存在として扱われているためです。

 

残念ながら、このように経済的視点を個々の動物の命や飼育環境より優先してしまう手法が畜産には伴います。少なくとも、消費者である私達が動物福祉に無関心であり続ける間はそうです。

 

殺処分の方法としては、生きたまま粉砕器に投げ込む、ガス殺が典型的で、その他には感電死、窒息死させる方法が一般的に行われています。

殺処分禁止に向かう国々

実はスイスでは既にひよこのシュレッダー処分は禁止されています。

 

また、2015年に世界で初めてひよこの大量処分を禁止すると発表したのはドイツでした。しかし今現在ドイツは卵が孵化する前にひなの性別を判定する技術開発を進めており、その代替手段が提供できるようになるまでは殺処分を継続することを決定しました。

 

CNNによれば、500万ポンド(約7億円)を投じてこの技術開発を進めており、2020年内には提供できるとの見通しを示しているとのこと。その時点で、ひよこの大量処分は禁止される予定です。

子豚の去勢に麻酔を

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今回のひよこの殺処分禁止に加え、ギヨーム農相は麻酔を使わない子豚の去勢も禁止すると発表しています。しかし、去勢自体は継続する意向です。

 

信じ難い事実ですが、畜産業界では肉の品質向上という理由で、子豚や子牛は麻酔もないまま激烈な痛みを伴う去勢処理を受けています。

 

これについてフランスの動物保護団体はL214は、麻酔使用を義務づけるだけでは「野心的」な改善とは言えず、「根本的な問題解決にはなっていない」とコメント。「屠殺における環境改善や家畜の過密飼育から脱却するための策は何も無い。」と言っています。

 

動物福祉の意識が高いフランス人

フランスの動物保護団体「Fondation 30 Million D’Amis」に委託されて行われIFOP(フランス世論研究所)の世論調査によれば、フランスの消費者は動物虐待(アニマルクルエルティー)に批判的であることが示唆されています。

 

消費者の55%が工場式畜産や狩猟、毛皮などの動物に拘る問題を「Le Grand Débat(ル・グラン・デバ)」(フランスの国民大討論会)で討論すべきだと回答し、83%が集中生産型の畜産を終わらせてほしいと考えていることが明らかになりました。

ではメスの鶏は・・・?

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イギリスのアニマルライツ団体「Viva!」によれば、メスの鶏に行われるクチバシの切断や拘束飼育も「鶏卵業界が内包する要素」であると言います。また、放し飼いを謳う農家の大部分でも異常なまでの過密飼育が行われ、工場式畜産に匹敵するほどの劣悪環境であることも指摘しています。

 

オスのひよこの恐ろしい殺処分が禁止されたとしても、メスの鶏の飼育環境はまた別問題として残ります。現代的な工場式畜産では、鶏達は高タンパク質な飼料を与えられ、産卵数を最大化させるために常に照明操作をされた鶏舎のケージの中で生涯を終えます。

 

年間産卵数は300個以上、実は野生で暮らしていれば産卵数は年間20個ほど。比べてみればどれほどメスの鶏が大量の卵を生産しているかが分かるでしょう。また、1〜2年して産卵数が減ってくれば屠殺が待っています。卵を生産しない鶏の余生の世話は農家にとってコストでしかないためです。

 

ファームサンクチュアリによれば、2007年には2億8000万羽の雌鶏によって773億個の卵が生産されています。この全ての卵は鶏達が子孫を残すためのものではなく、人類が食するためのものです。

いかがでしたか?

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今回の殺処分禁止は素晴らしいニュースであると同時に、残念ながら手放しに喜べることではないというのが現実です。なぜなら「殺処分禁止=オスのひよこが命を全う出来る」ということではないからです。

 

現在海外では殺処分の代替手段として卵の孵化前に性別を判定する技術開発が進められていますが、結局はオスを処分するという構造そのものは変わっていません。

 

殺処分の段階を誕生後から孵化前にずらしただけということになります。でも卵の中のヒナは既にもう生きている命です。人間のお腹の中の赤ちゃんと一緒です。

ひよことして誕生した形ある生き物を殺すより、孵化前の卵の段階で破棄すればOKという話ではないと思うのです。

 

ですが、ひよこの殺処分に疑問を持ち一つの進歩を経たことは素晴らしいことだと思います。日本も含めてそんな議論すら湧き上がっていない世界の国々が多数なのですから。

 

根本解決は卵を食べないこと。難しければオスの間引きを行っていない、終身飼育を行っているなど、鶏の生涯を尊重している農家さんから買うことが必要だと思います。

 

読んでくださった皆さんが、普段の食卓に並ぶ卵について考えるきっかけになれば幸いです。

お読みいただきありがとうございました!

 

参照記事

France Just Banned the Egg Industry From Shredding Male Chicks | LIVEKINDLY

CNN.co.jp : ひよこを粉砕機にかける殺処分、フランスが禁止を表明

 

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